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澤井コーヒー本店|古民家を活かした店舗リノベーション
地域で長く親しまれてきた澤井コーヒー本店の改修計画です。築60年超えの木造建物を耐震改修しながら、1階を使いやすい販売店舗へ、これまで活用されていなかった2階を試飲や展示、ワークショップの場へと再構成しました。眼前の通りではお客さんやサラリーマン、またこの鍋屋町商店街で働く人々が忙しく往来し、焙煎した豆やカップコーヒーを買っていく景色がすでに根付いている趣のある場所でした。
建物が持つ時間の積み重ねを尊重し、価値を未来へつなぐリノベーションです。
| 所在地 | 愛知県名古屋市 |
| 用途 | 店舗(豆焙煎、関連グッズの販売) |
| 構造・規模 | 木造2階建て(耐震改修・リフォーム) 昭和34年(1959) 築63年 |
| 延床面積 | 1F: 68.67㎡、2F:49.69㎡ |

“昔の記憶を残すファサード”
小豆色のファサード外壁、金色の屋号看板、錆びた庇板金や2階の木製格子窓は記憶を残す重要なパーツとしてそのまま使用しています

歴史を引き継ぎながら更新する
長年地域に親しまれてきた焙煎機の存在や、使い込まれた柱、壁の染み、塗り壁の欠けなど、建物に刻まれた時間そのものを価値として捉えました。新しく整える部分と残す部分のバランスを丁寧に見極めながら、これからの時代に続く店舗へと更新しています。

店のシンボルとも言える焙煎機:工事直前に解体・搬出・仮店舗での組み直し、竣工後に再度元の場所へ引っ越しを行い無事再稼働。

古民家の構造を活かした空間再編
耐震性能を確保しながら、1階は販売動線を整理し、2階には試飲スペースやコーヒーマシンの展示、
ワークショップにも対応できる多目的な空間を計画しました。建物の骨格を活かすことで、この場所ならではの魅力を引き出しています。


“土壁を残しつつ新たなフレームで耐震補強”
今プロジェクトの目的の1つでもある耐震補強に関しては、既存構造体の一回り内側に在来木造のフレームを付け足して補強する方法を用いました。新しく設けられた構造体によって土壁を覆うこと無く風合いや傷が落書きと共にインテリアとして残され三代続く老舗店としての重厚感を作りだしています。
「カフェ」では無くあくまで「焙煎所」としての世界観を保つため用いられた仕上材としての木毛セメント板を使用。ちょっと荒々しい素材感がインテリアのアクセントとなっています。
また、処分する予定だった古い木製建具を、店内黒板サインやレジカウンターの枠材に利用しています。

既存の素材を新たな役割へ
古くから使われていた棚板を解体し大きなテーブルの天板として再利用しました。記憶を受け継ぎながら、新しい使い方を生み出すこともこのプロジェクトの重要なテーマです。


街にひらく小さな窓口
通りに面して小さな販売窓口を設け、コーヒーを購入する人だけでなく、ふらりと立ち寄り会話が生まれる場所をつくりました。
店内と街のあいだに緩やかな接点をつくることで、地域に根ざした店舗のあり方を形にしています。



新しく作られたロゴマーク(昔のミルマシーンのシルエット)


2F 家庭用マシンの陳列スペース。壁の向こうには日常業務を行う事務所。
“通りに向かって開く2階客席”

和室を改修した2階客席は通りに面して幅3間のカウンターを造作(樹種:キハダ)、格子窓越しに、ときに通り歩く人と会話も交わしながらコーヒーを楽しむ事ができます。
また、焙煎室で棚板として長年使用された木材を用いてワークショップにも使える長さ2,700mmの木製テーブルを中央に配置。染み込んだコーヒー豆の風合いをそのままクリアー塗装で閉じ込めた風合いがこの空間のシンボルとなっています。

壁に残る雨漏れの染みもそのままに

階段に掲げられた銅版オブジェ

昔ながらの手すりが味となっている階段


2Fで使用するスツールはわざわ座さんのKM.90/taruki-stool B
http://wazawaza.or.jp/daikunote/km-90-taruki-stool-b/
現場も担当してもらった大工さんによる制作です。
古い建物の魅力を活かした改修や、
店舗づくりのご相談についてもお気軽にお問い合わせください。




〜 before 〜


