月が丘の住宅|急傾斜地に建つ混構造の家
名古屋市の月が丘に計画した、ご夫婦とお子さん二人のための住宅です。
高低差の大きい傾斜地という敷地条件に対し、1階をRC造、2階を木造とする混構造を採用しました。
擁壁を兼ねた構造体によって敷地を合理的に使いながら、道路からの視線を抑え、内部からはのびやかな景色が得られる住まいをつくっています。敷地条件を読み替えることで、のびやかさと安心感が同時に得られる住まいとなりました。

設計コンセプト
この住宅のテーマは、敷地の高低差を建築の魅力に変えること。不利にも思える条件をそのまま受け止め、断面構成や床レベルの操作によって、
- 視線の抜け
- こもれる居場所
- 家族の気配が伝わる関係性
を同時に実現しています。
外観|擁壁と建築が一体になる
コンクリート擁壁の前面を駐車スペースとし、RC打ち放しと木造部分のリシン仕上げを組み合わせた外観です。
高低差を利用することで前面道路からの視線を遮りつつ、1階の生活空間には広がりのある眺めを確保しています。玄関へと続くRC階段の横には、自転車を持ち込みやすいスロープも設けました。



玄関|素材の組み合わせが迎える
木製ドアを開けると、モルタル床とアンティーク照明が迎えます。
収納へと続く入口には小さなRを設け、やわらかな印象を加えました。
グレーの左官と赤みのある木の組み合わせが、この住まいの基調となっています。

ダイニング・キッチン|素材が重なり合う中心
この住宅を象徴する空間です。
現場打ちのコンクリートキッチン、木の質感、アンティーク照明。
異なる素材が重なり合い、独特の空気をつくります。
道路側には木製サッシを設け、
高低差によって守られたプライベートな開放感を得ています。


キッチンからの眺め|家族の居場所を見渡す
キッチンに立つと、庭と、その奥に4段上がったリビングが見えます。
視線のつながりによって、空間が立体的に連続していきます。



リビング|少し上がった、こもれる場所
リビングは土地のレベル差を利用し、ダイニングから数段上がった位置にあります。
包まれるような落ち着きと、家族を見下ろす安心感を両立させた場所です。



2階個室
屋根勾配を表した天井によって、限られた面積以上の広がりを感じられる個室となっています。



お庭|視線が抜けるもうひとつの居場所
道路との高低差によって守られた庭は、室内から連続する外部空間です。
キッチンやダイニングから自然と視線が伸び、住まいに奥行きと広がりをもたらします。

スケッチ|空間の原点

最後の一枚は設計初期に描いたキッチンダイニングのスケッチ。
設計初期の段階で描いたこのイメージが、完成した空間の核となっています。
スケッチ|空間の原点
- 傾斜地を合理的に活用する構造計画
- 高低差が生み出すプライバシー
- レベル差による居場所の多様性
- 素材の組み合わせによる空気感の設計
難しい条件を魅力へと転換した住まいです。敷地の制約は、設計の可能性に変えられるとも言える事例です。
